見知らぬ、洗剤

家を建てるならキッチンは業務用と言ったあなた、プロポーズさせてください。


知り合いの経営する居酒屋でごちそうになりました。閉店後に厨房を借りて皆の夜食を作ります。
他人の台所に踏み込むって大変ヤバイです。そこに本来立つ者の目線、調味料の位置、把握してる食材、これにはあれっていう器、全部が自分と異質な空間ですから。
キッチンは使う人の色が残ります。私は荒らされたくありません。いいんですか、と問う意味がテーブルの面々には通じず。
気持ちのいいおなかすいたーが返ってきます。そうだねカバおくん。
台所には口がありません。


真夜中です。良心はねんねの時間です。
よそ者の感性で皿を選んでやる。洗い場から菜箸まで今夜はまるまるジャックだわ。
背徳感がいい方に湧き上がります。ヒトの嫁寝取るのってこんな気分かしら。
火力が違う。火柱が上がる。調理台が広い。四方で水が使える。
鈍った勘と慣れない場を差っ引く必要がない。食べれるもんが作れる環境である。


小心者には肉が使えませんでした。ご飯のピカタと野菜炒めです。地味ですいません。
返却は、来た時程度に美しく。